logo 私情つうしん 第23号 2002年3月発行
スーツケース

an essay by 東瀬 朗

 一ヶ月ほど海外に出掛けなければならないため、荷造りに追われている。行く先の状況がいまいちよく分からないため(変化が激しいのだ)何を詰めていくべきなのか、大いに迷うところである。

 さて、この詰めるという作業をやってる最中、ふと頭の中でスーツケースに荷物を詰めるという作業と、欲望のコントロールというのはよく似ているな、と感じた。どちらも、出来るだけ沢山詰め込みたいけれど、詰めすぎると中身が壊れてしまうのだ。

 しかし、そんな事に思いを巡らせるのは一瞬。次の瞬間には少しでも多くのものを詰め込みたいと考えている自分に逆戻りである。たまには荷物を持たず放浪するのもまた楽しいのかも知れないが、持たないと不安になってしまうあたり、まだまだ人間も可愛いものなのかもしれない。人間って不思議な生物だなと思う。

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