私情つうしん 第22号 2001年4月
『私情つうしん』#20の特集を全部読んで、自分の国で「帰国子女」と呼ばれることがどういうことなのか、わかったような気がしました。私は日本人ではないけれど、私自身の経験を書いてみたくなりました。
私がナニジンであるかと聞かれても、私にはきちんと自分の国籍を答えることができません。30年も沖縄に住んでいたからです。
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| 若き日のご両親 |
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初めての希望の光は、高校でのエスニック・スタディーズの授業でした。先生はまずクラスを白人と黒人の二つに分けたんです。(70年代には、まだ日本人の生徒はいませんでした。)それぞれのグループが向かい合うように椅子を2列に並べ、先生はそれぞれのグループのリーダーに向かって、自分の仲間に入るべきメンバーを表にするように指示しました。先生は2枚の表を読み上げながら、呼ばれた生徒はしかるべき椅子に座るように言いました。それが終わったとき、私の立場はすごくはっきりしていました。どこでもないんです。みんなは座っているのに、私だけが立っていました。どちらのリーダーも私を表に書き込んでいなかったんです。私はすぐその場で死んでしまいたいぐらい、打ちのめされました。(ほかのみんなは恥ずかしそうに黙っていました。)
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| 本人:9歳、そして最近 |
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その日以来、私は「あなたはナニジン?」という質問に対して余裕を持って格好良く答えられるようになりました。今でも、私の答えは、「地球人」です。
結局、人は自分の人生で何が起こるかをあらかじめコントロールすることはできないにしても、そして自分の境遇や国籍がどんなものであっても、自分が自分であることを受け入れることが大切なんだと思うんです。この広い宇宙には、誰が何と言っても自分はたった一人しかいません。辛い思いをしている時間があったら、表に出て何か役に立つことをしている方がよっぽどいいじゃないですか。みなさんが持っている国際的な経験をムダにしてはいけないと思います。
とくに日本では、「みんなと違う」ことによって苦しんでいる人たちが大勢います。アイヌの人々、沖縄の人々、外国人、孤児、障害者、病人、HIV感染者、癌患者、ホームレスの人々、部落民……リストは延々と続きます。
私は、そのような人々にはまさにみなさんのような方の手助けが必要なのだと思えます。何も知らない同僚や友達や親戚が何を言うにしろ、そもそもそう言う人たちはまさに何も知らないんです。ルイ・ヴィトンのバッグを買い漁っているヒマがあったら、お願いだから未来への夢をたしかめてください。
日本は、社会的な危機に瀕しています。誰もそうと認めなくても、構うことはありません。みなさんだけが国境の向こうに何があるかを知っているんです。カウンセリングを学びたければ、Tokyo English Life Lineで一週間ぐらいのボランティアを行えば無料で電話によるカウンセリングのコースを提供してくれています。このコースは、ほかの人を助けるばかりでなく、自分の問題を解決するのにも役立つはずです。ほかにもいろいろとあると思います。なにしろこういった組織はみなさんの力を必要としているんですから、両手を広げて迎えてくれるはずです。(編集部注:まったくの偶然ですが、Tokyo English Life Lineからのボランティア募集を今号に掲載しています。)
金がいっぱい詰まった宝箱を開く鍵を握っているのは、みなさんです。目を覚まして、うしろではなく前を向いて歩いて下さい。もし日本がグローバルな社会の一員になるとすれば、その転換を支えることができるのはあなたたちしかいないんです。
でも、報酬を求めてもムダだということは言っておかなくっちゃなりませんね。みなさんのような人、あるいは私のような人は、決して社会に認められることはないんです。だとすれば、自分たちの成し遂げたことによって報われることを願いましょう。人々を愛し、何か新しいものをつくりだしたことによって自分たちが報われれば、それが幸せというものだと思います。
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| 後列左から:本人、ハンガリーとアイルランドの血をひくご主人、75歳のお父さん。 前列左から:車椅子にのったお母さん、前の大家さん。 |
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私の長い文章を読んでくれてありがとう。そして、ファンタスティックな新しいミレニアムに、人生の本当の目的を見つけられますように。