私情つうしん 第20号 2000年3月発行
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特集
「帰国子女」と呼ばれて
この特集は『私情つうしん』BBSで展開された議論を再構成したものです。
たろきち
僕は14年前に父親の仕事で1年程イギリスに行ってました。イギリスでは現地の学校に行ってました。しかし、日本の勉強についていけなくなるという不安から2ヵ月ぐらい学校に行けなくなり、日本の算数や国語などを追いつめられた気持ちでやった記憶が片隅にあります。日本の勉強を意識して自分を犠牲にしたのは悔いが残ります。
クラスメートは親しみやすかったです。イジメらしいのもあったけど必ず最後は仲直りしました。英語も片言ながら話せるようになり、一生の財産になると思っていました。
日本に帰ってきてからイジメを受け仲間外れにされ、英語を話すことがとても恥ずかしくなり、無口になってしまいました。給食もほとんど一人で食べていました。
今は25歳になりましたがその間に「君はちょっと違うよ」とか「君は個性的だ」とかよく言われて人間不信になってしまいました。本来なら一人一人の個性は当り前なのだけど僕が「個性的」と言われたとき、その人々の顔がいやにしかめっ面だったのが僕はとても辛かったです。出る杭は打たれる感覚でした。
仕事も他人との接触がすっかり苦手になったせいか、一人でやる仕事をやっています。友人らしい友人もこれといっていません。と言うか、最近、本音で話しのできる人自体も少なく感じるし、物事を真剣に考える風潮も無い感じがするので無理して友達をつくる事自体嫌になりました。話している内容も子供っぽいし。
僕は日本の伝統的なモノが好きなので、落語も好きだし、立飲み居酒屋で一人で酒を飲むこともしばしばあります。
若い人が『オヤジ』というのは年寄りじみていることではなく落語や赤ちょうちんで一杯などのノリを指しているように思います。だから『やきとりと日本酒なんてオヤジ』という人はきっと日本に対する誇りを失った人なのだと思います。
えのも
私もいわゆる「帰国子女」です。
この立場(境遇)で一番イヤなのが、何かにつけて「あの人は帰国だから」とか「海外育ちなんだよ」と特別な立場であるかのような言い方をされることです。初対面の人に紹介されるときに、枕詞のように「帰国子女」とつけられるのも、いわゆる「日本人には珍しい」見解を言ってしまったあとに「あなたは海外生活が長いからそう思うんでしょうね」と諭されるのも、正直言って不愉快です。特に初対面の人にそのような紹介をされると、「私は他にセールスポイントがないのかな?」と少々落ち込んでしまいます。
もっとも、こんな経験をされた方は無数にいらっしゃると思いますが、私の場合はもう少し複雑なんです。実は、私と同様な立場にいると思っていた、同じ帰国子女にもこういうことを言う人がいるんです。帰国子女にもランクがあるらしく、都市部で生活し、日本人学校に通い、滞在期間は3〜4年と比較的短い人は「純粋」な日本人に近く、私のように滞在期間が長く(7年)現地校に通学していた人は、より「帰国子女」度が高いとみなされるようです。
よく「英語が話せてうらやましい」などと言われますが、言葉なんてものは使わないとどんどん忘れてしまいますし、幼少期の蓄積が足りない分日本語も中途半端です。英語を誉められても、私の場合は特に努力して勉強したわけではなく、6歳で渡米したため自然に生活の中で覚えました。ですから誉められても、いわば日本人が「日本語お上手ですね」と言われているようなもので、むしろ馬鹿にされた気分です。私がひねくれ者なのでしょうか?