私情つうしん 第18号 1999年10月発行
アメリカ、オーストラリアで暮らした経験をもつ27才の帰国子女です。自分も帰国枠で大学に入学しました。まわりには高校時代の同じ帰国の友達を除いて、とくに帰国子女はいませんでした。やっぱり、英語のテキストを自分が読む時はやたら注目されました。自分が当時嫌だったのが、いわゆる英文和訳の授業の時、自分はいままで、いわゆる日本の受験英語の勉強をしてなかったため、上手く和訳ができなかったんです。そうしたら、「おまえ、本当に外国行ってたのかよ?」っていわれて周りから笑い者になってしまいました。英語の先生にも「あなたは本当に受験をしたのですか?」とまともに聞かれてしまいました。その時、自分がなんかこう、まわりの生徒の外国帰りのステレオ・タイプにはめこまれ、それにあてはまらないために駄目人間扱いされるようで、とても嫌な気分になりました。周囲の人達は、和訳は上手く出来るのに、会話が出来ない。でも自分は会話はできるのに、和訳が上手く出来ない。なのに、なんで一方的に自分は周りからそんな扱いをされなければいけないのか?それがとても腹立たしくなって、和訳は一生懸命やりました。そうなったら周囲の見方も大分かわりました。
自分は、海外で経験し、身に付けた事を日本にフィードするっていう役割を帰国子女は担っているのだとおもう。大学だってそれを期待しているんだよ。周囲の一般生の考えなんてとても狭いんだよ。だってほとんどの人が日本で塾だの、予備校だのみんなで同じような事やって、同じように生きて・・・でもそうするしかなかったり、いじめられるのが嫌だから枠にはまったような行動をしたり・・・(まぁもちろんみんながみんなそうだというわけじゃないけどね)。それに同化しては、もったいないと思う。ありのままの自分を大切にしてね。
偶然に開けたホームページでしたが、とても真剣に読ませていただきました。読んでとても驚いたと言うよりもむしろある種のショックを受けたと同時に、自分が常日頃から考えていることととても重なり合ったように思いました。
どうしてそこまでしなければ周りに受け入れられないのでしょうね。私は高校で英語を教えています。英語を難なく話すという点においては帰国子女ってうらやましいかぎりだわなんて、ただ単純に思っていましたがどうやらそんな状況ではないのですね。一番ショックだったのは、できるだけ自分が帰国子女であることを黙っておきたい、英語の授業ではわざと下手に英語を読むようにしているというところでした。なんだかひどく無理をしているような気がしてなりません。もっと気を楽にして、自然体でやって行くことは出来ないものでしょうか。 そう言えば、昨年教えた2年生の中にも、帰国子女らしき生徒がいました。男子生徒で、とてもおとなしい目立たない子でした。彼もひょっとして同じような気持ちでいたのかな。私にはごく普通に、他の生徒と特に変わらないように見えました。無理をしていると必ずいつかそれが自分にはね返ってくるのではないですか。失えば又必ず新たな出会いがあるものだと思います。自分の輝ける明るい未来を信じて、臆病にならずに自分らしく、又おごることなく卑下することなく生きていって欲しいものだと思います。もしあなたが私の生徒だったらこんなことを言っていたかもしれませんね。
人の気持ちを理解すると言うことはとても難しいことです。その人にしかわからないこともたくさんあるし、立場が変わってみると又違う見方もあるし...だからこそお互いを理解し合う努力って大事なのですよね。そういう意味では日本人も「自分と違う人達」に対する考え方をそろそろ改めるべきだと思います。(遅すぎるかもしれませんが。)これは帰国子女に対してだけではありません。さらに英語についても同じことが言えると思います。日本人にとって一番身近な外国語だからなのか、こと英語については「出来る、出来ない」という感覚が異常なほど強いような気がします。これはわたし自身についても言えることかもしれません。要するに英語が出来る人がうらやましいのです。それがいつしかコンプレックスを通り越して嫉妬のようなものになり、英語を無理なく習得できた環境に育った帰国子女に、ついその矛先が向いてしまうのではないでしょうか。例えば英語が出来なくたって他に出来るものがちゃんとあればいいし、得意なこと・不得意なことは人によってそれこそ千差万別、いろいろありますよね。帰国子女の方だって英語に関してはその力はさまざまだと思います。私はごくごく普通に日本に生まれ育ち英語の教員だった父の影響で教員を目指し、英語の教員になりました。英語を勉強する環境に多少は恵まれていたかもしれませんが、留学等の経験はありません。おかげでいまだに教えること、自分自身も勉強することにとても苦労をしています。今では英語の教員に帰国子女や留学の経験のある人達がいることは珍しいことではなくなりつつあります。英語の研修会では彼ら、彼女らの発言力はそれは他を圧倒するものがあります。ついめげそうになりますが、でも気を取り直して「自分は自分だ!日本を出ずしてここまで健気に頑張ってきた自分を誉めてあげよう!」と、どこかで聞いた台詞ですが、自分を叱咤激励する日々です。
又ちょくちょく、帰国子女のページに立ち寄らせていただくつもりです。肩肘張らずに、めげずに進んでください。お互い何の面識もありませんが、とても応援したい気分です。