私情つうしん 第15号 1998年4月発行
私は海外で暮らしたことのない人間ですが、常日頃、自分の生まれついた国で生き続けることの意味を考えておりました。
子供の頃から、世界中のさまざまな風土を見て歩きたいと夢見ていた私は大学で地球科学という学問を専攻し、幸いにも学生生活の中でいくつかの国での観測や学会への参加という機会を得ることが出来ました。
その中で大きな感銘を受けたのは、当初から期待していたそれぞれの風土の違いよりも、むしろ先々で出会った科学を扱う技量を手に世界を舞台に生きる越境科学者の存在でした。
この夏より私はアラスカのフェアバンクスに数年の契約で研究員として赴き、自分自身も越境科学者の道を歩み始める事になりました。この後も仕事があるのならどこへでも行くという心構えです。
但し、ここへ来て、もしかしたら日本には戻れないかもしれないという恐れがわいてくるのです。
また、どうして日本に戻ることにこだわる必要があるのかという疑問もわくのです。
いずれ、日本を離れた後にはその土地で、いろいろ考えなくてはいけないと思っています。