私情つうしん 第15号 1998年4月発行

好きな国、嫌いな国

東瀬 朗


「あなたの好きな国はどこですか? また、それはなぜですか?」
 つい先日、こんな質問が僕に投げかけられた。この質問、そんなに難しい質問にはどう見ても見えない。でも、僕は回答に困った。
 それは、この設問が出たときに、自分の中にある疑いの気持ちが起こったからだ。その疑いとは、一つは「国という単位で好き嫌いを論じてよいものなのかどうか」というものだ。その事について思いを巡らせていると、国という単位で好き嫌いを論じるのは、ある意味では非常に危険なのではないかと思う。それは、いわゆる国家間の争いも、元をただせばこの「好き嫌い」の感情に行き着いてしまうからだ。また、これでランキングを作るという考えがあったりなんかすると、事態はもつれた糸のようにややこしくなる。このランキング、見た目は他愛ないものだが、その持つ意味はとても差別的なものを含んでいるように感じられる。例えば、その場にいる人間が多国籍で、自分の国がランキングで最下位だったらどのように感じるのだろうか? 気持ちのいいものではないだろう。これは、一種の人種差別の助長になる可能性がないとは言えない。
 もう一つは、皆が漏らす声を聞いていると、選択肢を始めから日本を抜いた形で考えている人が多いのかな、と感じられたことだ。日本も「国家」である上に、自分の生活している母国でもある。その場所を「自分の好きな国」という設問において始めから外してしまうというのは日本が「国」であるというイメージがわかないのであろうか。それとも、アンケートの特性上、外国の国を回答として求めていると解釈してしまったのだろうか。どちらにしても、日本という国の問題点を示していると思うのは気のせいだろうか。
 このアンケートが、誰かが嫌な思いをするような形で使用されないことを祈ってやまない今日この頃です。

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筆者に手紙を出す